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役員報酬の個別開示はプラス、さらなる工夫を

根本直子

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

2010 年3月期の有価証券報告書では、1億円以上の役員報酬を開示することが企業に義務付けられることになった。これまで企業は報酬の総額は開示しても、個別報酬については消極的であり、上場企業の開示は2008年では1件のみであった。「日本は米国企業のような過大な報酬を受けていないので必要がない」、あるいは、「報酬額が一人歩きをして誤解されてしまう」といった懸念が背景にあったと思われる。

 こうした主張は理解できるが、個別の報酬開示は、望ましい方向と考える。

 第一に、投資家にとって有益な情報が増え、経営の透明性が増すと期待される。明確な報酬規定があり、それが公正に適用されていることは、経営陣の能力をフルに発揮させ、企業価値を高める条件の一つと思われる。最近では、報酬の基準を開示する企業は増えているが、基準だけでなくその適用の結果を見せてもらうことが投資家にとっては最もわかりやすい材料になる。

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