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中小企業の要素技術が命を救う

多賀谷克彦

多賀谷克彦 朝日新聞東京本社経済部長

 「当社のこの技術は医療機器の範疇に入るのでしょうか」「大手と組む時のPL保険の水準は」。7日午後、JR大阪駅前の貸しホールに集まった約300人を超すビジネスマンから質問が相次いだ。神戸市産業振興財団と大阪商工会議所が主催した「医療機器ビジネス参入促進セミナー」。成長産業として医療機器への関心は高く、急きょ別会場に中継モニターを用意するほどの盛況だった。

 医療機器は血圧計や補聴器から、MRIや人工心臓まで幅広く、薬事法上では30万品目に及ぶ。いずれも日本企業が得意とする電機、精密機械、微細加工など先端技術の組み合わせが多く、国際競争力が高くてもおかしくない。

 国内市場は2兆円規模。だが、日本企業のシェアは5割を切り、輸入超が続く。しかも欧米勢のシェアが年々高まっている。特徴的なのは、内視鏡やMRIなど診断系機器の国際競争力はそこそこだが、ペースメーカーや人工心肺など、リスクを伴う治療系機器では大幅な輸入超が続く。欧米企業の独壇場と言っていいほどだ。

 日本企業の劣勢を招いているのは幾つもの事情が絡み合っている。

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