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「電気自動車=エコカー」を幻想から真実にしよう

小此木潔

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

 2年前、ベルリンで緑の党の国会議員と議論したことがある。彼は「エコカーの名に値するのは電気自動車だ」といい、私は「燃料電池車だ」と主張して、議論はかみ合わなかった。私はいまでもそう考えている。

 電気自動車が究極のエコカーであるかのごとくみなすのは、やめたほうがいい。それは幻想である。もちろん、走行中に温室効果ガスをいっさい出さないという電気自動車の良さはある。それを認めた上で、その限界をもきちんと知ることで、究極のエコカー時代への道を切り開くことができる、と私は考える。

 電気自動車の出力や走行距離がハイブリッド車などに比べて見劣りするのは仕方ないとして、私が問題にしたいのは「電気自動車に充電する肝心の電気はどうやって発電するのか」ということだ。その電気が火力発電でまかなわれる限り、その車は化石燃料を燃やして走っているのと同じことだ。

 せいぜい、個々の車がガソリンを燃やして走るよりも、最新鋭の火力発電の方がエネルギー効率は良く、その分だけ、ちょっぴりエコである、という程度のことではないだろうか。

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