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国家ビジョンをもとに政界再編を

城繁幸

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 前回の総選挙において、政権入りをにらんで打ち出された民主党のマニフェストは、あまりにも地に足のついていないバラ色のものだった。高速道路無料化や子供手当、最低賃金引き上げ、事業仕分けによる16.8兆円のコストカットなど、ポピュリズムを絵に描いたような政策ばかりが並び、実際に絵に描いた餅で終わった。

 もっとも、だから政権交代は失敗だったというつもりはない。死に体とばかり思っていた自民党も、参院選マニフェストを見るとずいぶん勉強したなと思う。要するに、悪かった点を一生懸命勉強して修正すればよいのだ。「失敗したっていいじゃないか、政治だもの」と言ったらバッシングされるとは思うが、議会制民主主義はそういう作りになっている。

 では、民主党が学ぶべき教訓とは何か。色々とあるが、その最大のものは、埋蔵金や行政の無駄をいくらカットしても、必要な16.8兆円の一割も出てこなかったという現実である。つまり、歳出の大幅な見直しか、大増税か、あるいは両方を折衷して進める以外に道は無いのだ。

 歳出の見直しを進める場合、一般歳出の半分を占める社会保障が対象となる。それ以外の無駄は「あるんです!」と言い続けてきた民主党が仕分けしても出てこなかった以上、期待しない方がいい。

 増税については、公平性が高く経済活動に対して中立性の高い消費税が柱となるべきだ。これはEU諸国が平均20%前後の消費税を設定していることからも明らかだろう。

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