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出発点に戻ってきた菅内閣

城繁幸

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 17日、菅新政権の顔ぶれが出そろった。仙谷、枝野両氏をポストに残しつつ、党の顔たる幹事長ポストを反小沢派の岡田氏で固めたわけだから、挙党一致というよりも自派による地固め内閣というべきだろう。事実、小沢支持を表明した山田、原口の両氏は閣僚ポストから外されている。

 では、この内閣はいったいどこへ向かうのだろうか。一言でいえば、官僚主導内閣だろう。

 昨年成立した連立政権をつなぎとめていたのは、“反自民”という太くて堅いたった一本のくさびだった。そして、少なくとも野党の間は、このくさびだけでも問題は無かった。

 ただ、いざ政権を取ってみると、彼らにはいったい何を目指すのか、共有のビジョンが完全に欠落していることが明らかとなった。こうして、その時々にスポットライトの下にいる人間が好き勝手なことを言うという連立与党の大迷走がスタートすることになった。

 最初に舞台に立った鳩山内閣は、“いのち”とか“友愛”とか、大味っぷりに輪をかけたような内閣となり、9カ月持たずに崩壊してしまった(別に間違いとは言わないが、こういう能天気さが許されるのは中学の卒業文集までだ)。この内閣は閣僚によっても意見が違うという珍しい内閣だったが、それは鳩山さん自身が大味だった結果にすぎない。

 そんな中、明確に官僚依存という方向性を打ち出したのが菅政権であり、それに政治主導のバラマキ路線で挑んだのが今回の代表選における小沢氏だった。菅陣営の完全勝利に終わった以上、当面は適時官僚の指導を受けつつ、ルーチン的な業務をこなす退屈な政権が続くだろう。

 フォローしておくが、これはけして悪い話ではない。霞が関という日本最大にして最高のパワーを持つシンクタンク組織は、それなりにまとまった成長戦略を練り、ムダな事業を仕分けし、財政再建の道筋を考えてくれるだろう。

 だが、それらはすべて霞が関の尻尾を踏まない範囲での話であり、

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