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[11]仰天JALのコスト感覚、ファーストクラスをバラマキ進呈

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 倒産して再建中の日本航空(JAL)が国内線のファーストクラスを「無料」でばらまいていることが明らかになった。

 

 JALはグループ社員4万人と1万4000人強のOBに「JALグループファミリークーポン」と称して国内線が半額になる優待券をばらまいていることも、AERA誌上で明らかになっている(AERA10月4日号)。倒産しても仰天のコスト感覚である。

 JALがばらまいているのは、「国内線ファーストクラス券引換証」なるものだ。普通運賃の値段だけで国内線のファーストクラスが乗れるので、ファーストクラス代金(8000円)がタダになる。国内線の幹線である東京-札幌、東京-福岡などで配っている。この「国内線ファーストクラス券引換証」とは、JALの説明によると、大口利用者である大企業むけに、いわば試乗券として配っているのだという。あくまでも販促という位置づけだという。

 これをそのまま受け止められないのが、ライバルの全日本空輸(ANA)である。

「8000円分の減収覚悟の上、立派なお試し券を印刷して、丁寧な専用封筒をあしらい、説明書を添えての配布ですから、相当のコストがかかっているのではないでしょうか」と、ANAの担当者はJALの動きを怪しむ。倒産したうえ、放漫経営の惨状が頻繁に報道されることによるイメージダウンから、国内線のJAL離れは進んでいる。ANAに優良顧客が流れることを恐れ、顧客の囲い込みのための、なりふり構わぬサービスとしかANAには見えない。

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