2010年10月15日
倒産して再建中の日本航空(JAL)が国内線のファーストクラスを「無料」でばらまいていることが明らかになった。
JALはグループ社員4万人と1万4000人強のOBに「JALグループファミリークーポン」と称して国内線が半額になる優待券をばらまいていることも、AERA誌上で明らかになっている(AERA10月4日号)。倒産しても仰天のコスト感覚である。
JALがばらまいているのは、「国内線ファーストクラス券引換証」なるものだ。普通運賃の値段だけで国内線のファーストクラスが乗れるので、ファーストクラス代金(8000円)がタダになる。国内線の幹線である東京-札幌、東京-福岡などで配っている。この「国内線ファーストクラス券引換証」とは、JALの説明によると、大口利用者である大企業むけに、いわば試乗券として配っているのだという。あくまでも販促という位置づけだという。
これをそのまま受け止められないのが、ライバルの全日本空輸(ANA)である。
「8000円分の減収覚悟の上、立派なお試し券を印刷して、丁寧な専用封筒をあしらい、説明書を添えての配布ですから、相当のコストがかかっているのではないでしょうか」と、ANAの担当者はJALの動きを怪しむ。倒産したうえ、放漫経営の惨状が頻繁に報道されることによるイメージダウンから、国内線のJAL離れは進んでいる。ANAに優良顧客が流れることを恐れ、顧客の囲い込みのための、なりふり構わぬサービスとしかANAには見えない。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください