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[12]IT企業の給料/トップはグリー、覇者ヤフーは安い

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 IT系大手企業7社の有価証券報告書や聞き取り調査によって従業員の平均給与を調べたところ、最も平均給与が高かったのは、グリーの705万4000円だった。逆に最も安いのは斯界の覇者ヤフーの591万円である。先駆者ヤフーが、給与の面では後続企業に追い抜かれていることがよく分かる。

 

給与水準が高いグリーの売上高経常利益率が55%強というすさまじさ
武富士など消費者金融が退場した後、民放のテレビCMを席巻しているのは、グリーとディー・エヌ・エー(DeNA)である。

 リーマンショック以降、自動車や電機など大企業の広告出稿が減少するなか、CMの中で存在感を高めたのは、こうした新興のIT系ベンチャーと言っていい。ライブドアや楽天に株式を買い進められた2005年には、IT系新興企業を敵視した放送界だが、いまや彼らの大盤振る舞いのCM出稿のおかげで経営が一息ついている。皮肉な結果である。

 無料の携帯ゲームを武器に2000万人という驚異的な会員数を誇るSNSのグリーは、2010年6月期決算が352億円の売上高に対して経常損益は195億円の黒字だった。売上高経常利益率が55%強というすさまじさで、電機やハイテクなど名だたる輸出産業がせいぜい数パーセントなのと比べると、驚異的な利益率の高さだ。モバゲーのDeNAも、10年3月期決算が481億円の売上高に対して経常黒字は215億円(売上高経常利益率44%強)という強靭な利益率である。

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