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東電従業員の”経営責任”を問う

城繁幸

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

避難所を訪れ、被災者に手をついて謝罪する東京電力の清水正孝社長(中央)=22日午後1時49分、福島県郡山市のビッグパレットふくしま
 ここにきて、東電の賠償問題が浮上している。

 もはや一企業としての存続を疑問視する声も一部にあるほどだ。仮に救済されるとしても兆円単位の税金が投じられるわけだから、1グラムのぜい肉も残さないほどの徹底したコストカット、組織のスリム化が要求されるに違いない。

 安定した長期雇用を維持し、(戦後の)日本型雇用の代名詞だった東電だが、これを機に楽園は終焉を迎えるだろう。

 ところで「東電けしからん、まずは給与を下げて誠意を見せろ」と言っている人は世に溢れているが、彼らに「ではどれくらい下げればいいの?」と聞くと、皆きまってきょとんとした顔をする。中には「えーと、2割、くらいかな・・・」と数字を挙げる人もいるのだが、「じゃあ誰を2割下げるの?」と聞くと、まず答えは返ってこない。経営陣だけ2割カットですむならお安い御用だが、それではスズメの涙にしかならない。全社員一律2割カットが一番わかりやすいが、50代管理職と新人が同じ責任を背負わせてよいものか。

 そもそも、社員が経営責任を負うというのも、おかしな話ではある。賞与の業績連動部分のカットは別にして、外資で責任をとって社員の給料を下げました、なんて企業は聞いたことがない。たとえばリーマンショックの後、

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