メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

痛みの先送りは限界、日本の判断に世界が注目

根本直子

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 民主党が機能不全となっている理由の一つは、財源手当てが十分検討されずに、やりたい政策だけが打ち出されたことにある。

 日本大震災後の復興については、その轍を踏まないように、財源について党内および国会で十分な議論を行い、国民に明確な方針を示すことが重要だ。日本政府の財政赤字や債務額がすでに巨額なことを考えると国債増発にこれ以上頼ることは望ましくなく、増税による手当ては不可避と考える。

 震災の復旧、復興に必要な費用は、標準的な予想で30兆円といわれ、その多くは国の負担になる。原発事故の影響が広い地域に及んで補償範囲が拡大したり、経済の低迷から税収が減少した場合、国の潜在債務はさらに増えて、40兆円から50兆円に上るという試算もある。

 財源として、国債発行を増やせという意見があるが、慎重に対応すべきだ。日本の一般政府のネット債務額(債務から流動性のある資産を引いたもの)は2004年から2007年にかけて、GDPの80%位で安定していたが、その後急速に悪化した。仮に増税がない場合、

・・・ログインして読む
(残り:約1175文字/本文:約1618文字)