メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

復旧・復興で「土建国家」回帰を許すな

原真人

 東日本大震災の復旧・復興は目下のところ、日本の最大の課題のひとつであることは間違いない。だが、その大義名分の下で予算のバラマキやむだ遣いが横行しはじめているのが気がかりだ。

宮城県女川町。町の主要施設はすべて破壊され、海沿いの平らな地に人は住んでいない

 例をあげよう。たとえば仮設住宅の建設だ。住宅を求める震災避難者のためにこれまで岩手、宮城、福島の被災3県が造った仮設住宅は約4万6千戸にのぼる。テレビニュースなどで報道されていたイメージでは、「仮設住宅が足りない」「建設をもっと急げ」だったが、いざ造ってみたら、そこには1万戸もの空きが出ているのだ。

 本当ならば、自治体が民間アパートなどの賃貸住宅を借り上げ、被災者に無料で2年間貸し出す制度をもっと活用すべきだったのではないか。実は賃貸物件が少ない岩手県の被災地を別にすれば、宮城や福島ではこちらの方がずっと人気がある。両県では仮設入居の2倍近い4万件の利用がある。しかも財政負担もはるかに少ない。仮設建設費は1戸当たり約500万円かかるので、1世帯が2年間利用すると1カ月当たり約20万円のコストとなる計算だ。ところが借り上げなら、4人以上の世帯でも月7万円ほどで済む。

 政府は具体的な金額を明らかにしていないが、

・・・ログインして読む
(残り:約1275文字/本文:約1772文字)