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ますます殿様になる電力会社

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 九州電力の「やらせメール問題」をめぐる真部利応社長の発言を聞いた人は、「独占企業の体質とはこういうものか」と改めて感じたのではないだろうか。佐賀県知事の発言が発端だったという第三者委員会の報告書のポイントを否定し、「郷原委員長(の存在)にこだわってほしくない。もう委員長ではないわけだから」と語った。委員長がいなくなった以上、報告書はもうゴミ箱に捨ててもいいと言わんばかりである。

 思考論理がどこかずれている。しかし、真面目そうな表情でそう言う本人は全く変だとは思っていないようだ。なぜこのような態度が取れるのか――それは電力会社がその地域で持つ経済的な支配力の大きさを知れば納得できる。

 九州の主要企業(資本金1億円以上)の今年度の設備投資額は7000億円(日本政策投資銀行調べ)だが、このうち九州電力だけでなんと2400億円、34%を占めている。設備投資は土木・建設、発電・送配電設備、運用システムなど、すそ野はあらゆる業種に及び、

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