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トヨタ神話が崩れるとき

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 トヨタの経営の変調が続いている。今期中間決算では先の3月期決算に続いて自動車販売が振るわず、本業の営業損益は大幅赤字になった。販売台数がトヨタの半分しかない日産の決算と比べると、ひどく見劣りする。世界最大の中国市場でも出遅れ、シェアは外資系5位に留まる。現地メディアは「中国のニーズに合った車作りができていない」と指摘する。この行動の鈍さはかつての巨大メーカーGMに似てきたとの声も聞かれ始めた。日本産業界の象徴とされるトヨタは、時代の急激な変化から取り残されつつある。

 決算数字をみていこう。まず2011年3月期決算(表1)では、販売台数は前年同期に比べて7万台増えたが、営業利益率は2.5%と低い。一方の日産は67万台増やして営業利益率6.1%と大差をつけた。トヨタの営業利益4682億円のうち76%は販売金融(自動車ローン)事業で稼ぎ、本業の自動車事業によるものは16%にすぎない。

 その傾向は中間決算(表2)ではもっとひどくなる。販売台数は前年同期比69万台のマイナスとなり、自動車事業の営業損益はついに2100億円の赤字に転落。販売金融事業の利益1710億円で穴埋めしたものの、結局326億円の赤字に終わった。日産は販売台数を15万台増やし、3097億円の黒字、営業利益率7.1%でトヨタとの差を一段と広げた。

 中間決算ではトヨタの販売台数は日本、北米、欧州という主要市場で軒並み減り、アジア市場でわずか4万台増えたにすぎない。大震災の影響はあったが、これは日産も同じだ。トヨタは世界各地の工場の過剰設備や生産効率の悪さが

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