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正直者がバカを見る――経団連は倫理憲章を廃止せよ

常見陽平 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

もう既に「内々定」が出ている。倫理憲章にサインしていない外資系企業やベンチャー企業だけではない。私が把握しているだけでも、倫理憲章にサインしている大手生命保険会社、大手鉄鋼メーカー、都内の鉄道インフラ企業は一部の学生に内々定を出している。中には「3日以内に返事をするように」と内々定受諾を迫った企業もある。エイプリルフールだと思いたいだろうが、これが現実だ。

 もともと倫理憲章には法的拘束力も罰則規定もない。ましてや、どうやら遵守しているかどうかの調査義務もないようだ。また、解釈は企業に任せるという状態になっている。2013年度は就職解禁日が大学3年生の12月1日になったが、倫理憲章にサインした企業においても、それ以前にFacebookページなどを立ち上げ、学生にアプローチした企業はあった。これも解釈次第というわけだ。

 また、親会社、持ち株会社がサインをしていたとしても、傘下の企業は別ということもよくある話である。実際、日本を代表する情報通信企業でも、子会社などにおいては内定出しが行われている。このような早期の内定出しについても、今に始まった問題ではない。正直者がバカを見るのが倫理憲章なのだ。

 もっとも、倫理憲章を破った企業の気持ちもわからなくはない。正直者がバカをみるルールなら、破った方が賢いという話になる。ましてや4月1日に選考解禁というのは、学生にとって別に嬉しいわけではない。2月、3月にやってくれて、早めに内定を出してくれた方がむしろ学業は阻害しない。

 そもそも

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