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日本の短命政権は異例、在職期間を延ばす制度変更も検討を

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 世界で選挙・首脳交代が重なった2012年が終わろうとしている。世界の首脳任期や在職期間をみると、改めて日本の首相の短命さが際立つ。日本の首相や財務大臣の在職期間は、任期5年の日本銀行総裁に比べて随分短い。平成の首相は例外的に長期政権だった小泉純一郎を除いて平均すると451日(小泉を含めると541日)で、日本郵政の斉藤次郎社長の3年間にも遠く及ばない。短命な政権から見れば、日銀総裁などは安定した身分で責任をとらないと見えてしまうのかもしれない。日本維新の会やみんなの党は首相公選制に積極姿勢だが、肝心の自民党と公明党の連立政権は首相公選制を優先政策にはしていない。

フランス大統領任期は7年、オバマは再選で8年

 まず、首脳の任期という視点で、世界の選挙・首脳交代イヤーを振り返る。1月の台湾総統選挙では、国民党の馬英九総裁が4年間の任期を終えて再選された。3月のロシア大統領選挙では、プーチン首相がメドヴェージェフ大統領と入れ替わる形で、大統領に復帰して6年の任期を持つ。4月のフランス大統領選挙では、社会党のオランドが民衆運動連合(UMP)の現職サルコジに勝利して7年間の任期を獲得した。6月、エジプトでは民主化運動「アラブの春」以降、初めての大統領選挙が実施され、穏健派イスラム団体ムスリム同胞団系列の自由公正党のムルシ党首が大統領に就任した。大統領選挙前の憲法が改正され、任期は4年で一回に限り再任を認めている。11月、米国では民主党のオバマ大統領が共和党のロムニー候補に競り勝ち、再選され通算で最大8年の任期を得た。

 アジアでは、日中韓がそろって首脳交代を経験し、奇しくも政治家ジュニアが政権に就くことになった(フィリピンのアキノ大統領も母が大統領、父が上院議員)。中国では、習近平が中国共産党総書記になり、来年から国家主席に就任する。健康問題が報道されているが、胡錦濤や江沢民の実績に従えば、最大2期10年の任期が可能となる。韓国では、与党・セヌリ党公認の朴槿恵(パククネ)氏が、最大野党・民主統合党公認の文在寅(ムンジェイン)氏に競り勝った。大統領の任期は5年で再選は禁止されている。

小泉を除くと平成の首相は短命

 改めて任期を比較すると、フランス大統領は再選すれば14年間の任期を持つのを最長として、最低でも4年間の任期がある。他国の首脳任期と比べると、安倍さんは制度的に短命の宿命を背負っているのが分かる。

 通算在職年数が4年を超える首相は明治以来、7人しかいない(表1)。戦後で5人、名前を挙げると、

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