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中韓企業にマネされる電子部品や素材、その対策は?

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 電子部品や化学素材の優秀さは、日本の産業界の強みである。世界シェアも高い。パナソニックやシャープなど家電の退勢が明らかになり、日本の製造業の得意技はかつての最終財から中間財(部品・素材)に変わりつつある。例えばアップルが昨年秋に発売したiPhone5では、日本製部品が50%超を占めている()。

 ところがその先端部品や素材が中国や韓国企業によってマネをされ、市場を取られる事例が日常的に起きている。関係者の危機感は深刻だ。日本企業はどう対応すればよいのか考えてみたい。

 住友化学がアフリカで生産する「オリセットネット」は、マラリアの予防に効果を発揮する蚊帳である。ポリエチレン製の糸に防虫剤(ピレスロイド)を練り込み、徐々に表面にしみ出させる技術「コントロール・リリース」を用いて開発した。国内で使用量が減った農薬の技術を転用した。

 その性能は世界保健機構(WHO)から高く評価され、国連児童基金(ユニセフ)等を通じて50カ国以上に供給されている。タンザニアの現地生産法人は7000人の雇用を生み出した。日本でもよく知られた話だ。

 ところが、最近は主に中国製の安い類似品が多く出回り、収益は赤字に陥っている。彼らが市販の製品を分析して仕組みを見抜き、安い労働力で模倣してくると太刀打ちできなくなる。しかし、赤字だからといって、社会貢献でもあるアフリカビジネスをやめてよいものかどうか、住友化学は困っている。

 韓国との関係でも、日本企業はマネされる悩みを抱えている。ある電子素材を製造する大手化学メーカーの場合、この数年、主な納入先が日本のエレクトロニクス産業からサムスン、LGなど韓国企業に切り替わってきた。彼らが要求するのは、当然ながら今時点での最先端の部品や素材である。

 すると何が起きるかと言えば、

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