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世界の常識になってきた「日本の財政はいずれ持続不可能」

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 「我が国の財政はおそらく持続不可能だ」(黒田日銀総裁、朝日新聞インタビュー、4月10日)

 「財政再建をしなければ、(国債が売られて)急激な金利上昇が起きてしまう」(麻生財務相G20で会見、4月20日)

 

 アベノミクスの推進者たちがようやく、財政と国債の潜在的な危機について表の場で語り始めた。とくに黒田発言は、立場が中央銀行総裁だけに、その率直さに驚かされる。

 

 財政の持続を懸念するのは、国債を大量に買う大手機関投資家も同じ。明治安田生命、日本生命などは最近、これまでの国債中心だった資金運用先の一部を外国の債券に移す方針を相次いで明らかにした。

 

 理由は「国債の金利が低いから」。日銀が国債市場を「占拠」するかのごとく、短期、長期、超長期の国債を隈なく巨額に買うので、どの国債も金利は低下し、生保は運用益を出すことができない。仕方なく利回りの高い外債に兆円単位の資金を回すという。

 

 しかし本音を言えば、財務相の言うように、日銀の国債購入が財政の肩代わりと見なされて需給が崩れれば、保有する国債の価格が下落して大損失になる――そうなる前に海外に資産を移してリスク分散しておこうという狙いもある。

 

 すでに公債残高が1000兆円(GDP200%)を超え、今後、金利上昇が起きれば財政が深刻な問題になることは、先に「『物価上昇2%』で現実になる国債利払費の危機」で書いたとおりだ。

 

 銀行など大手機関投資家は、数年前から「Xデー」(国債暴落)に備えて秘かに国債の残存期間(満期償還までの期間)を短くするなどの対策を進めてきた。今回の対応はその延長線上にある話である。

 

拡大債務残高の国際比較(対GDP比、%)

 

 しかし、安倍政権はこれまで、財政の現状や見通しについて語るのを慎重に控える傾向があった。これには主に二つの理由がある。

 

 一つは、7月に予定される参院選挙までは、国民の目を円安や株高の方に向けて人気をつなぎたいから。もう一つは、国民に財政の危うさを知らせると、「大幅増税や社会保障費の削減」という連想が生じ、年金受給者を中心に生活防衛で消費が縮み、物価目標の達成が遠のくからだ。

 

 そこで政府は、 ・・・続きを読む
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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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