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 米中の首脳会談で、習近平国家主席がオバマ大統領に対し、TPP交渉の進展状況について質問し、交渉過程の透明性の確保と、交渉状況についての継続的な情報提供を依頼した。これについて、中国もTPP参加を検討しているという報道がなされている。中国がTPPに参加するかどうかは別にしても、中国がTPPに関心を持ち出したことは事実である。それは、なぜだろうか?

自由貿易協定の本質とは

 TPPは、参加国間の貿易と投資の自由化を進める自由貿易協定の一つである。自由貿易協定の本質は、排除(exclusion)または差別(discrimination)である。(これは、どの国も無差別に平等に扱うべきだとするガット・WTOの“最恵国待遇”原則の大きな例外である。)貿易について言えば、参加国内の関税は撤廃して貿易を推進するが、参加国以外に対しては、関税は維持される。

 つまり、A国とB国の間では、関税という石ころもないハイウェイの上を、モノを積んだトラックが自由に行き来できるようになるが、C国がA国やB国と貿易しようとすれば、石ころだらけのデコボコ道を通らなければならないということだ。A国とB国の自由貿易協定から排除されたC国は大変な不利益を受ける。C国はどうするか?A国とB国の自由貿易協定に参加するか、A国、B国それぞれと自由貿易協定を結ぶしかない。

 これが実際に起きているのである。日本がメキシコと自由貿易協定を結んだのは、メキシコがアメリカ、EUと自由貿易協定を結んだために、メキシコ市場に輸出しようとすると、関税を払わなくてもよいアメリカやEUの企業に比べ、日本企業が不利益となったからである。

次々にうまれるドミノ効果

 また、日本がアメリカ、EUとの自由貿易協定(アメリカとの間はTPPである)に意欲を示しだしたのは、韓国がアメリカ、EUと自由貿易協定を結んだため、 ・・・続きを読む
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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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