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農地集積だけでは米問題は解決しない

青山浩子 農業ジャーナリスト

 「日本の米は生産過剰」と聞いて疑う人はいない。稲作は日本の気候風土に適しているが、消費は減り続けている。高齢、兼業農家でも作れるため供給は常に需要を上回っている。政府は水田の4割は減反させ、40年以上転作奨励のために多額の補助金を使ってきたが、解決できていない。

 「余っているわけではない。実需者が求めている米を生産者が提供できていないから、行き先を失い余っているだけ」と熊本県のある若き稲作農家はいう。この農家は品種や栽培方法を組み合わせ、業務・加工需要にも積極的に対応している。

 800万トンといわれる米の生産量のうち、三分の一から半分近くが業務・加工用に使われているという。業種や業態によっても異なるが業務・加工用米の実需者が求める米価は12,000円(60kgあたり)以下といわれている。

 一方、生産者が手にする米価はこれを上回る。2006年産から13年産(5月末まで)の全銘柄の相対取引の平均価格を見ると14,000~16,000円台。つまり業務加工が求める価格との間に2,000~4,000円の開きがある。

 ここ1、2年特に米価が高く、外食業者や弁当業者はほしい米が変えずに困り、輸入米を手当したり、顧客に提供する米の量を減らすなど苦肉の策をとってきた。

 マーケットが安い米を求めている以上、作り手はなんとかしてでも安い米を提供していく必要がある。要望に応えられれば米は売れる。

 ところが安い米を作ろうという気運はほとんど高まっていない。それどころか、

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