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伝統的経済学の落日とデフレ脱却

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 現在の経済学、特にマクロ経済はケインズ経済学とも呼ばれ、ジョン・メイナード・ケインズに端を発し、第2次世界大戦後、アメリカを経て全世界的に広がったものである。国民所得統計が各国で整備され、GDPや国民所得という言葉はごく一般的なものになっていったのだった。

 こうしたマクロ経済学による分析が全く効力を失ったわけではないのだが、このところその分析力がかなり落ちてきてしまっている。その原因は本格的グローバリゼーション。例えば、伝統的経済分析ではインフレーションやデフレーションは貨幣的現象だとされている。つまり、金融政策でインフレやデフレはコントロールすることができるというわけなのだ。

 しかし1990年代後半から日本のコアコアCPIは下がり続け、GDPデフレーターは1999年以来、前年同四半期比でマイナスが続いている。この間のほとんどの時期にいわゆるゼロ金利政策が継続し、

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