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CSRの観点から見た、阪急阪神ホテルズ事件の教訓(上)―社長は「演説」よりも「対話」が大事

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 阪急阪神ホテルズの「食材偽装」問題は、出崎弘社長が11月1日付けで辞任する事態に至った。

 同社がホームページ上で47品目の食材がメニュー表示と違っていたことを報告したのが10月22日。その時点では、10日後に社長が辞任するとは、社内でだれも想像していなかったのではないか。

 最大のポイントは、記者会見での答え方を間違ったことだ。「一部食材で調理担当者がメニュー表記と違うことに気付いていた」というそれまでの見解を「そのような報告はない」と突然撤回し、会見は大荒れになった。

 ホテル業界全体がその余波を受け、別のあるホテルは「メニューにあったフレッシュミルクは、紙パックの市販品でした」とお詫びした。

 あるラジオ番組のパーソナリティは、「フレッシュミルクといっても、レストランの厨房に牛がいるとは思ってませんよ」と笑った。

 このような「珍騒動」は毎年のように起こる。その最大の原因は、企業の経営陣、特に社長の感覚と、社会の感覚のズレにあるようだ。

 例外も多いだろうが、特に企業規模が大きいほど、社長と社会の感覚は乖離している感がある。「ヒト・モノ・カネ」のマネージメントには強いが、

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