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投資をしない日本企業は、株主や従業員へ還元せよ

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 世界で一日あたり100件余りのM&Aが実施されている。金融調査会社ディール・ロジックによると、2013年の世界のM&A件数は3万7212件に及ぶ。これでも2005年以来、最も低い買収件数とされる。買収対象となる企業数は米国、そして中国が上位にある。買収金額でも米国(1兆1754億ドル)、中国(2407億ドル)の順番になっている。GDP世界3位の日本は967億円で世界5位の市場にとどまっている(表1)。

 こうした近年のM&A市場を象徴するM&A案件が今年になって、米国と中国の企業間で連続している。主役は世界最大のパソコンメーカー、中国のレノボ・グループである。

先行するレノボに見劣り

 レノボは1月24日、米国IBMから小型サーバー(x86サーバー)事業を23億ドル(約2346億円)買収、1月30日には米国グーグルから、スマートフォン製造部門モトローラ・モビリティを29億1千万ドル(約2968億円)でそれぞれ買収したと発表した。レノボはこの買収により、携帯電話で三星電子、アップルに次ぐ世界3位となり、特に北米と南米市場への参入を期待している。レノボは世界最大のパソコンメーカーの地位も、IBMからの買収で実現させ、日本ではNECのパソコン事業を傘下に収めている。

 ソニーの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は、スマートフォン事業で米国と中国に本格進出し、2年後に世界の年間販売台数を2倍に増やし、世界3位を目指すと表明しているが、

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