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[2]「当社内部資料が出ている」

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 事故収束が火事場の危急時を乗り越えた2011年5月以降、東京電力と政府が作る統合対策本部の全体会議はほぼ毎日、その日のマスコミ報道への批評や記者会見で公表予定の内容が言及されるようになる。

 5月13日(金)午前9時からの全体会議では、この日の朝日新聞朝刊の1面、3面の記事が話題になっている。

 朝日はこの日、1面トップに「高放射線情報 公表せず」との見出しで、福島第一原発3号機の原子炉建屋では、3月14日に水素爆発する前日には高い放射線量のデータを把握していたにもかかわらず、そのことを公表しなかったことを報じた。

 東電の内部資料からつかんだ話で、3面にはその内部情報(3月11日以降の同原発の時系列の推移)を表にして詳しく報じている。取材・執筆は複数の記者によるもので、筆者の中には、大阪地検特捜部の証拠改竄をスクープして新聞協会賞を受賞した取材班に加わっていた板橋洋佳記者の名前もある。

 本店広報班:今朝の朝日新聞朝刊の1面、3面の記事について。その記事のベースとなっている資料を確認していないが、発生直後に関係者での情報共有を目的としたメモの一部の可能性が高い。

 現在ヒアリング等がしっかり行われているところでもあるため、特に3面記事にある個々の内容について認めたり、ひとつひとつの議論ではなく、今後の調査結果がまとまった時点で公表したい。

 内部資料が東電のものであることを事実上認めつつも、その内容を問いただされても認めない。一方で漏洩先を探そうと「ヒアリング」という名目の調査が行われ

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