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[4]事故調に「言語道断」

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 東京電力のマスコミへの怒りは、ついにその取材源でもあった政府の事故調査・検証委員会(事故調)にも及んだ。

 2011年8月24(水)、25日(木)の全体会議では、両日の読売新聞のスクープ記事が議題に上がっている。読売の記事には、東電が、福島第一原発に従来の想定を超える10メートル以上もの高い津波が到来することを震災の3年前の2008年の段階で認識していた、とある。それを東電は事故調の調査に対して伝えていた、と報じた。

 事故調の中間報告が出るのはこの年の暮れのことなので、まだ発表以前の、調査過程の情報を読売がスクープしたのだ。

 東電はこのころ、原発を襲った高い津波は「想定外」という姿勢を崩していない。しかし、実は3年も前にそうした巨大津波が襲来する可能性を秘かに想定していたのに、これといった対策を講じていなかったというのが、真相として明るみに出た。原発事故は、天災ではなく、東電の人災という側面が強いのだ。そのことが露見し、東電の幹部たちは情報源とみられた事故調に激しく反発した。

 まず8月24日午後6時からの全体会議で、本店広報班が「本日の読売新聞の記事に記者たちの関心が高まっています」と報告。「当社のスタンスとしては、『いま事故調が調査を進めている段階なので、当社としては積極的に説明をすることは控えさせていただきます』というスタンスですけれども、

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