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[20]ウクライナ問題で考える東アジア・東南アジアの安定

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 最近のウクライナ情勢の展開は、東アジア・東南アジアの国際関係の安定にも、重大な意味を持っている。

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終結した際に、当時の米国は、旧ソ連のゴルバチョフ書記長に対して、歴史的なロシア圏を、米国の軍事的な支配下に置くことはしないとの確約を与えたという。

 しかし、米国は、ウクライナに関連しても、ロシアに対する約束を、2度も破る事になりそうである。

 まずは、2004年から2005年のオレンジ革命の際に、ウクライナをNATO(北大西洋条約機構)に引き込もうとした際であり、そして2回目が先月22日のウクライナ政変に関連しての事態である。その前日には、ロシアも関与して、ヤヌコビッチ政権と野党勢力の間で、挙国政権の結成と早期選挙実施が合意・調印されていた。しかし、その翌日には、ヤヌコビッチ氏は首都を逃げ出さざるを得なくなり、議会が同氏を解任し、暫定大統領を指名する事態に発展した。

 ロシア側は、この事態を不法な「クーデーター」と呼び、米国・欧州連合側は「ウクライナ新政権」側を支持する態度を示すという経緯をたどっている。

 米国・欧州側とロシアのウクライナをめぐっての綱引きは昨年11月末、ヤヌコビッチ氏が欧州連合との関係を緊密化する合意を破棄した時点から表面化した。ウクライナの欧州連合への参画の次には、ウクライナのNATO加盟が控えていると、ロシア側が考えても無理はない。そうなればロシアは、

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