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『待機児童』を数え直す~本当は何百万人いるのか?

石川和男 NPO法人社会保障経済研究所代表

 『待機児童』はいま、日本国内にいったい何人いるのだろうか?

 政府は「平成25年4月現在で保育所待機児童数は2.3万人」と答えるはずだ。2014年9月に公表している数字である。

 私は、この人数について非常な違和感を覚える。総務省の調査によると、平成24年10月現在で就学前児童(0~5歳児)は634.2万人いる。この人数規模に比して2.3万人というのは、たった0.4%弱でしかない。

 これはあまりにも小さい数字ではないか。そんなに少ないのに、待機児童問題が大きな政治的課題になっているのはなぜなのか。違和感の理由はここにある。

 その答えは簡単に見つけられた。政府の待機児童の定義があまりにも狭いのだ。

 待機児童とは、と問われたら、私も含めて多くの人は普通、「幼稚園や保育所に入れていない就学前児童(0~5歳児)」と答えるだろう。

 しかし、政府がこれまで保育行政の対象にしてきた待機児童の定義(※)は、要するに「保育所の入所申込みをしたが、未だ入所できていない児童」に過ぎず、それ以外の多くの『保育所の入所申込みに至っていない児童』を含んでいないのだ。

:『待機児童』に関する法令上の定義>
(1)法律上で規定されているのは、社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号)第8条だけで、そこでは「待機児童」は「保育所における保育を行うことの申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育所における保育が行われていないものをいう」とされている。
(2)それ以外の法令で規定されているのは、子ども・子育て支援法附則第4条の保育の需要及び供給の状況の把握に関する内閣府令(平成25年内閣府令第20号)第2号だけで、そこでは「保育所入所待機児童」は「児童福祉法第24条第2項の規定に基づき保育所における保育を行うことの申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育所における保育が行われていないものをいう」とされている。

 そこで以下では、「保育所の入所申込みをしたが、未だ入所できていない児童」に止まらず、『何らかの保育サービスを必要とする待機児童(=潜在的待機児童)』の数を弾き出すことを試みたい。

 厚生労働省の以下の三つの調査によると、保育サービスを受けている児童数として、平成25年4月現在で保育所利用児童数は222.0万人、平成24年3月現在で認可外保育施設入所児童数は18.5万人、平成24年3月現在で事業所内保育施設入所児童数は6.1万人である。

保育所関連状況取りまとめ(平成25 年4月1日)

保育所入所待機児童数(平成25 年10 月)

平成23 年度 認可外保育施設の現況取りまとめ

 また、文部科学省の別の調査によると、平成24年度現在で幼稚園児数は160.4万人である。

 以上の数値について、就学前児童数から保育サービスを受けている児童数及び幼稚園児数を単純に差し引くと、 ・・・続きを読む
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筆者

石川和男

石川和男(いしかわ・かずお) NPO法人社会保障経済研究所代表

1965年福岡生まれ、1984年東京大学、1989年通商産業省(現経済産業省)。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、中小企業庁、産業政策局、商務情報政策局、大臣官房などを歴任し、2007年退官。2008年以降、内閣官房・国家公務員制度改革推進本部事務局企画官、内閣府・規制改革会議WG委員、内閣府・行政刷新会議WG委員、専修大学客員教授、政策研究大学院大学客員教授、東京財団上席研究員などを歴任。現在は、NPO法人社会保障経済研究所代表、霞が関政策総研主宰、日本介護ベンチャー協会顧問など。

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