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ベネッセの深い闇、大量個人情報による成長と学校教育ビジネス

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 福武書店の進研ゼミや進研模試。オジサン世代にも、ほろ苦い青春時代を思い起こさせるブランドである。進研ゼミなどで成長してきたベネッセホールディングスの中核会社ベネッセコーポレーションは9日、760万件から最大2070万件の顧客情報を流出したことを発表した。

 同ホールディングスの2013年度の売上高は4663億円にのぼり、学習塾の東京個別指導学院や外国語教育のベルリッツ、通訳会社のサイマル・インターナショナルを買収するなどして、日本最大の教育サービス業に成長している。

 日本最大の教育サービス業を誇る企業集団の成長源(顧客情報)が、日本で過去最大の個人情報漏えい事件につながる可能性がある。

 通信教育によって事業を拡大してきたベネッセ・グループは、これほどまでに大量の個人情報をどのようにして収集し、営業活動に利用し、管理してきたのか、明らかにする必要があるだろう。同グループは、警察に対する情報を盗まれた被害申告だけで済まされる問題ではない。

 もちろん名簿業者から個人情報を購入し、ダイレクトメールを送付したジャストシステムの企業倫理も問われる。だが、ベネッセ・グループのビジネスは、小学校入学前の乳幼児から大学生、社会人、高齢者と拡大している。失った信用の回復には、過去にさかのぼった個人情報収集と管理方法などを明らかにすることが不可欠である。

最大2070万件の個人情報とは何か

 ベネッセが流出させた可能性がある件数が、いかに膨大な個人情報であるのか、説明を続けたい。

 2070万件の顧客情報が1件あたり1人としても、全人口の16%になる。1件が世帯を意味する場合、家族(両親、子ども2人)の情報なら、8280万人にまで拡大しうる。子ども1人に保護者1人、1件2人としても、4140万人まで拡大し、全人口の3分の1の個人情報を収集していたことになる。

 次に、総務省の人口推計(2014年6月1日現在)と比べてみる。

 19歳以下の日本の人口は2232万人である。ベネッセ・グループは現在、

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