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東巨次島から救助に駆けつけた漁師、車正録さんが撮影したセウォル号。船体は空気を霧のように噴き上げながら沈んだ=2014年4月16日、韓国南西部・東巨次島周辺 拡大東巨次島から救助に駆けつけた漁師、車正録さんが撮影したセウォル号。船体は空気を霧のように噴き上げながら沈んだ=2014年4月16日、韓国南西部・東巨次島周辺

 4月16日に韓国で起きたセウォル号沈没事故から3カ月。乗り合わせた修学旅行の生徒が多数亡くなった悲劇は大きく伝えられた。だが一方、どの報道にも、何か重要なことを落としているようなもやもや感がつきまとい続けてきた。その正体が、先月29日に東京都内で開かれた集会ではっきりした。それは、セウォル号事故の背景にある非正規労働者の増加だ。

船長も乗組員も非正規

 「セウォル号沈没とアベノミクスは同じ!」と題したこの集会は、「なかまユニオン」など労組のメンバーが実行委員会形式で開催した。ここでは韓国非正規センター企画編集部長で「非正規のない世の中づくり」執行委員でもあるオ・ジンホさんが、セウォル号機関部の乗組員17人のうち12人が短期雇用の非正規労働者だったこと、船長でさえも1年契約の非正規労働者で、月給はわずか270万ウォン(約27万円相当)だったことを明らかにした。

 運行会社の青海鎮海運は会社の経営顧問料として6000万ウォンを支出していたが、乗組員の安全教育研修費はわずか54万ウォンで、移住労働者を含むこれらの非正規乗組員は、葬祭費や保険・共済組合の保障の外に置かれていたという。

 4月30日付の韓国「聯合ニュース」は、事件当時の非正規船長は代理だったという韓国の検察官の話を紹介している。本来の船長は青海鎮海運に対し、船体のバランスに大きな問題があり揺れやすくなっていると報告していたが、会社は放置し、人件費が安くてモノを言わない非正規船長にすげかえたとの指摘だ。見えて来るのは、安全を守る立場の働き手まで、 ・・・続きを読む
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筆者

竹信三恵子

竹信三恵子(たけのぶ・みえこ) 和光大学現代人間学部現代社会学科教授

和光大学現代人間学部教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

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