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ソフトバンクの「Pepper」、ロボット界のアップルやグーグルを目指せ

小原篤次

 大学生を驚かせるのは簡単である。5年ほど前の話は彼ら、彼女たちにとっては昔話だからだ。

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 ソフトバンクが経営不振の携帯電話会社を買収し、通信事業に参入したことを知る若者は少ない。若者には、日本を代表する通信会社としてのブランドが定着している。当然といえば当然の結果(業績)を同社は残している。

 ソフトバンクは2014年3月期、営業利益1兆円を突破して、NTTドコモを抜き去り、トヨタ自動車、NTTに次ぐ日本3位の巨大企業に成長した。NTTとの差も1200億円で、日本最大の通信会社になる日も近い。米国携帯電話会社3位のスプリント・ネクステルを買収し、さらに4位のT-モバイルの買収を目指している。

 しかしながら、孫正義・最高経営責任者(CEO)は、「通信会社ではなく、インターネット・カンパニー」と言い続けている。

来年から全国各地でロボット販売

 2006年に買収した携帯電話会社は2008年、スティーブ・ジョブズの遺作となったiPhoneを日本で独占販売することで、「つながりにくい」といったマイナスイメージを吹き飛ばすには十分だった。だが、すでに飽和状態になった国内スマートフォン事業でシェア争いをするだけではなく、新商品・新サービスを投入することを決めた。

 孫氏率いるソフトバンクが次に選んだのが、人間型ロボット(ヒューマノイド)である。来年2月、全国のソフトバンクショップで、家庭向けに販売することを目指している。海外から日本にいる友人らに、「次の日本土産はロボットね」というつぶやきが飛びかうほど、海外での注目度も高まっている。

 同社が販売するのは、ヒューマノイド「Pepper(ペッパー)」(身長121センチ、体重28キロ)。ソフトバンクが出資したフランスのロボット・ベンチャー企業アルデバラン・ロボティクス社が開発し、世界最大の電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手である台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループが生産する。

 製造は水平分業体制で、企画と販売・アフターサービスをソフトバンクグループが担う点では、スマイルカーブと呼ばれるアップルと同じビジネスモデルである。

 日本は、ファナック、安川電機、セイコーエプソンなど、産業用ロボットを中心に世界をリードしてきた。123万台の産業用ロボットが稼働している。経済産業省によると、2011年の産業用ロボット(電子部品実装機含む)の世界市場規模は133億ドル(約1兆3600億ドル)に及び、日本企業のシェアは57.3%に及ぶ。潜在市場は産業用ロボット以外の分野にあり、介護・医療用など対人サービス業向け分野にある。

 「Pepper」は家庭向け市場をターゲットとしており、 ・・・続きを読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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