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[41]米国の株式市場、非常に不安定な局面に

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 先週の7月30日以降のニューヨークの株式市場は大荒れであった。ダウ工業株平均は、ほぼ年初の水準近くにあっさり急落してしまった。要するに、最近の7カ月間の株価の上昇はなかったことになってしまった。

 米国連邦準備制度の公開市場委員会は、毎次の会合の決定で、量的緩和政策による証券買い上げ額を、昨年までは毎月850億ドルとしていたが、今年明けから100億ドルの幅で段階的に削減してきた。7月29日、30日の両日には、さらに100億ドル削減すると決めた。今年10月頃には、量的緩和政策の手仕舞いが完了するペースである。

 米国の金融資本市場では、2007年7月下旬にサブプライム危機が表面化した。その翌年の2008年9月中旬には、リーマン・ブラザーズ社の破綻で、世界経済・金融資本市場を巻き込む金融パニックが起きた。

 2007年初秋以降には、米国中央銀行は、その政策金利であるフェデラル・ファンド・レートの誘導目標を5・25%から、2008年12月の0・00~0・25%の幅にまで急速かつ大幅に引き下げた。ほぼゼロの水準にしたのだ。

 それでも、米国の金融資本市場が安定しないと見るや、米国金融当局は、金融機関に直接に流動性(短期資金)を供給するために、不動産担保証券や国債の大量購入、すなわち、量的緩和政策を3次にわたって発動してきた。

 この非常措置の結果、米国のマネタリ―ベースは大膨張した。2008年夏には8000億ドル余だったのが、最近では4兆ドル台にのるほど。5倍余になったのだ。

 この潤沢な流動性は、米国の企業が非常な低利で社債を発行して資金を調達し、その資金で自社株買いに励み、企業の収益状況などからは正当化できない高水準に、株価を押し上げる原動力になってきた。

 米国連邦準備制度理事会のバーナンキ前議長が昨年5月下旬、米国の量的緩和政策の手仕舞いを示唆しただけで、

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