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[42]日本経済は、ミニ不況(ミニ景気後退期)入り?

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 米国の株式市場が不安定性を増すのと軌を一にするかのように、東京の株式市場も不安定性を増している。

 金融資本市場の変調には、経済活動の変調が伴うのが常である。株式市場の変化には、景況の変化が連動しても不思議ではない。

 日本では、4月に消費税率が5%から8%に引き上げられてから、増税の景況への影響は、軽微、大きくない、想定内とする議論が各所から聞こえた。

 しかし、消費税の負担は、生産者・販売者から、最終的には消費者に転嫁される。増税の第1次的効果として、増税分は可処分所得が減る。実質的な消費水準が影響を受け、その悪影響が生産者・販売者にも波及するのは当然である。

 増税の影響は想定内と言っていた多くの論者・媒体が、何をもって想定内としていたかは不明確である。しかし、株価の急落などは既に現実に起きており、景気は大丈夫だと、澄ましていられる状況ではないであろう。

 政府が集計・公表している鉱工業生産指数の最近の推移と、敗戦から復興して「もはや戦後ではない」といわれた時期の1955年以降の推移を、主な不況期に留意しながら眺めると、我々が置かれた景況の現状が浮かび上がる。

 鉱業・製造業の生産水準の推移を推計する鉱工業生産指数は、鉱業・製造業部門が日本経済の粗付加価値ベースでは17・6%、国内生産ベースでは32・1%を占めるなどから、依然として重要な経済指標である(2012年簡易延長産業連関表による)。

 製造業部門は、景況の変動に応じて、在庫が過剰・過少にならないように、生産水準を迅速に調整するので、景況の変化を敏感に示すものとしても、最も重要な指標の一つである。

 1955年以降の鉱工業生産指数の推移と、主な不況期のグラフを眺めると、1990年代初頭までは、好況・不況で、生産水準に一時的な上下変動は認められるが、傾向的には右肩上がりの上昇を示していた。

 しかし、1990年代初頭以降の日本の株価・地価などの資産価格の大暴落が起きてからは、鉱工業生産指数の傾向的な上昇と言いうる状況はなくなり、鉱工業生産指数の水準の上下振幅が非常に大きくなっている。

 この生産水準の激しい変動に連動して、 ・・・続きを読む
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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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