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日米貿易摩擦が再燃!来年の米不足で現実味

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 「秋に米価は暴落する」(8月4日)で述べたように、農協が過去行った市場操作のせいで、今年産(26年産)米価は暴落する。

 では、農家は来年産の作付けをどうするのだろうか?今まで通り、米を作り続けるのだろうか?主食用の米価が暴落し、全農の過剰在庫は米流通量の1割にも及ぶ60万トンに増加しており、来年の米価回復は見込まれない。このような状況では、農家は主食用に米を作るようなことはしない。

 農家にはしかし、主食用以外にも米を作る道がある。しかも、これには、政権復帰した自民党政府によって多額の補助金が用意されている。

 前回の自民党政権末期の21年産から、政府は、農家にパン用などの米粉や家畜のエサ用などの非主食用に米を作付させ、これを減反(転作)と見なして、減反補助金を交付し初めた。具体的には、農家が米粉・エサ用の生産をした場合でも、主食用に米を販売した場合の10アール当たりの収入10.5万円と同じ収入を確保できるよう、10.5万円から米粉・エサ用米の販売収入を差し引いて、8万円を交付してきた。

 そればかりか、自民党は、政権復帰後行った減反見直しで、民主党が導入した戸別所得補償廃止によって浮いた財源を活用して、この補助金を10アール当たり最大10.5万円にまで増額した。この補助金は25年産の主食用米の農家販売収入と同額である。

 農家は米粉・エサ用の生産をすれば、25年産米価と同じ収入を補助金だけで得ることができる。米粉・エサ用のコメを売ることで何かしらの収入が得られれば、さらに有利となる。来年農家は、価格が低下した主食用の米ではなく、米粉・エサ用米の生産を行うようになる。

 農林水産省はエサ用に最大450万トンの需要があるとしている。その3分の1でも150万トンである。農家がこれだけの非主食用米を生産すれば、その分、主食用の米は不足する。過剰在庫60万トンはなくなり、かえって90万トンもの不足が生じる。当然米価は高騰し、

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