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 その年最悪のブラック企業を「表彰」することで世論を喚起する「ブラック企業大賞」の候補企業が今年もノミネートされ、8日、東京・阿佐ヶ谷でプレ・イベントが行われた(写真、http://blackcorpaward.blogspot.jp/2014/07/2014-httpwww.html)。ゲスト参加の社民党の福島みずほ議員と共産党の吉良よし子議員、企画委員らによるトークから浮かんできたのは、安倍政権による働き方の規制緩和の急展開の一方で、ブラック企業への対抗措置は、実はそれなりに進んでいるという事実だった。

東京・阿佐ヶ谷でのプレ・イベント拡大東京・阿佐ヶ谷でのプレ・イベント

相次ぐブラック企業対策

 2010年、若者労働NPO「POSSE」が機関誌などで広めた「ブラック企業」の言葉は、「若者がだらしないから会社の厳しさについていけない」という言説を、「企業による若者の使い捨てが若者を働けなくしている」へと大転換させた。2012年に創設された「ブラック企業大賞」第1回で市民賞を受賞したワタミ・フードサービスや「ありえないで賞」を受賞したゼンショーが、労務管理の実態が知られる中で人手不足に苦しむなど、働く側の会社選びにも影響を与えている。こうしてセクハラやDVと同様に、ある現象に名前がつくと、そこに対策も始まる。

 昨年は、厚生労働省が約4000社を対象に初のブラック企業調査を実施、今年6月にはブラック企業規制法案が、参院本会議で継続審議になった。残業代割増率の倍増や1日最低11時間の休息時間を導入するなどの長時間労働の是正、離職者数の公表などの情報公開、パワハラの規制の3本柱で構成された法案だが、情報公開については一足先に今年度からハローワークで、大学生や院生を採用する企業の求人票には、採用者数、離職者数を公表することが義務付けられた。

 そうした一連の流れのひとつの到達点と言われるのが、今国会で成立した「過労死等防止対策推進法(過労死防止法)」だ。過労死遺族たちの粘り強い働きかけによって超党派で生まれたこの法律には、労働時間の上限規制などの強行的な縛りは盛り込まれていない。これで過労死やブラック企業に歯止めがかかるのか、という疑問が繰り返されるのはそのためだ。それでは、この法律はどのような道筋で過労死やブラック企業化を防ごうとしているのか。

 同法では、過労死のない社会の実現を目標に、国、地方公共団体、事業主、国民の責務が定められ、国や地方公共団体には、啓発事業や防止対策の「大綱」策定や過労死に関する実態調査・情報収集、相談体制の整備、民間団体の活動の支援、厚労省に遺族などの当事者を含む委員で構成される「過労死等防止対策協議会」の設置などが義務付けられている。つまりは、 ・・・続きを読む
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筆者

竹信三恵子

竹信三恵子(たけのぶ・みえこ) 和光大学現代人間学部現代社会学科教授

和光大学現代人間学部教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

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