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[6]医療機器ビジネス 「なじみの薄さ」どう克服

多賀谷克彦 朝日新聞東京本社経済部長

 「出会えてよかった!2」という冊子がある。米国系の医療機器メーカーなどがつくる業界団体「AMDD」(東京)が、3月に発行した2冊目の患者の体験談集だ。

 先進的な機器や器具と出会い、症状がよくなった喜びの声を収めている。心臓、血管など様々な分野で、14人が発症から術後までを語り、担当医が医療技術を分かりやすく解説している。

 たとえば東京都の男性(82)は昨年、「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」と診断された。心臓の弁が十分に開かない。胸を開き、人工弁に置き換える手術が必要だった。でも、男性は脳血管に細いところがあり、手術が難しかった。

 そこで、太ももの血管から心臓まで新たに開発された管(カテーテル)を通し、専用の人工弁を管を通じて心臓に運ぶ治療法がとられた。欧州で進む、脳血管などに負担をかけない手法だ。男性は治療から6日目に退院できたという。

 個人の治療に関する情報は、本人や家族でなければ知る機会は少ない。医薬品であれば、患者自身が服用するから効果を実感できる。医療機器や器具の場合、恩恵を受けるのは患者でも、選ぶのは医師なので、

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