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原発再稼働の前に「オーフス条約」による「市民参加」を(上)

まさのあつこ ジャーナリスト

 ブラジル・リオデジャネイロで開かれた1992年の国連環境開発会議で生まれた「双子の条約」(気候変動枠組条約と生物多様性条約)ほどは目立たないが、他にも重要な落とし子が生まれていたことを覚えているだろうか。リオ宣言の「第10原則」(*)だ。

 「第10原則」は、環境問題の解決はすべての市民が参加することで最適化されるとして、情報、政策決定、司法手続等への参加機会を与えるべきだという原則だ。

 国際的に行われてきたこの原則の実現努力とはどのようなものか。日本で起きている原発再稼働や公共事業に関する市民参加の実態と比べて欲しい。

情報、政策決定、司法参加の3権利を保障するオーフス条約

 欧州では2001年に「第10原則」をストレートに実現する「オーフス条約」が発効した。「公衆」が環境を守ることができるように、(1)情報へのアクセス権、(2)意思決定への参画権、(3)司法アクセス権を保障することを参加国に求める。2014年1月現在で47カ国とEUが参加している。日本では、環境法の研究グループや市民団体が解説パンフレットを作成している。

オーフス条約とは何か、日本では、環境法の研究グループや市民団体が解説パンフレットを作成しているオーフス条約を解説するパンフレット

 特徴は「公衆」の意味が広いことにある。個人および団体を含む。「関心をもつ公衆」を「環境についての意思決定により影響を受け、もしくは受けるおそれのある、または意思決定に利害関係を有する公衆」と定義し、「環境保護を促進し、かつ国内法のもとで要件を満たす非政府組織は、利害関係を有する」とも定めている。

 「公的機関」の意味も広い。(1)国や自治体、(2)国内法のもとで、環境と関連した活動やサービスを提供する人や法人、さらには、(3)環境と関連して(1)(2)の管理下にある公的なサービスなどを提供する人や法人を含んでいる。

 「環境情報」の意味もまた広い。(1)大気、水、土壌、土地、景観、生物多様性など環境の要素はもちろん、(2)それに影響する物質、エネルギー、騒音、放射線といった要素の他、協定、政策、計画を含む行政措置、意思決定に使われる費用便益分析など、(3)さらには(2)で影響を受ける人間の健康と安全、生活条件、文化的史跡や建築物まで、あらゆるものが「環境情報」とみなされるように条文が編まれている。

 締約国は、「公的機関」が「環境情報」を保持、更新し、公衆の3つの権利を保障する、つまり、

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