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 アベノミクスと日本経済の失速については予想した通りの展開である。このまま来秋に消費税率10%への増税を実施するには無理がある。

 対策としては三つの選択肢がある。

 (1)増税時期を先送りする

 (2)予定通り増税するが、さらなる金融緩和や財政出動で国内総生産(GDP)を強引にかさ上げして景気を維持する

 (3)いまのような増税スキームを改め、増税と成長が両立するように思い切った政策変更をする、ということだ。

 政権は(2)を軸にしつつも総選挙の時期とからめて(1)の道もさぐってきたようだが、(1)も(2)も問題の解決には役立たないと私は考える。必要なのは(3)の道である。つまり、経済を冷やし国民生活を壊すような増税方式ではなく、社会保障や雇用を充実し、消費を委縮させない増税方式に直せ、ということだ。この改革さえできれば、増税時期はいつでもいい。

 増税の先送りや、景気対策あるいは軽減税率などの低所得層対策といった小手先の手法ではなく、消費と成長を損なうような現在の増税方式を、消費や成長と両立するような増税方式へと設計変更・大転換することこそが必要なのである。さもないと、日本はこれからの消費増税によってふたたびデフレの波にのみ込まれるか、物価上昇と停滞が同時進行するスタグフレーションに見舞われ、 ・・・続きを読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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