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第4回 片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員(上) 消費増税はアベノミクスを壊しかねない

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

 シリーズ「再びアベノミクスを聞く」第4回は、若手のリフレ派の代表格である三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミスト、片岡剛士主任研究員にご登場願う。アベノミクスの金融緩和政策に一定の評価を与えつつ、ポスト・アベノミクスに目線を向けている。

 ――これまでのアベノミクスのご評価はいかがですか?

拡大片岡剛士氏

 一本目の矢の大胆な金融緩和は円安と株高を進め、物価も上昇しました。株価も為替もリーマン・ショック前の水準に戻りました。2013年暦年(1月~12月)だと実質成長率が1・5%ありましたが、このうち民間消費の寄与度が1・2%。設備投資や輸出の寄与度は低調であり、2013年度の経済成長を牽引したのは民間消費であったといえます。

 それから第二の矢ですが、2013年3月に10兆円強の補正予算を組んで、13年4月の本予算という形で本格的な財政出動が強力に出てきたのに、今年4月の8%への消費税増税で方向感を失ってしまったと思います。アクセルとブレーキを同時に踏んでしまった印象です。

 成長戦略の第三の矢の効果は未知数ですね。そもそも政策が効果を発揮するには時間がかかることもあって、2013年の日本経済には大きな影響がなかったと考えています。

 ――消費税増税は失敗だったと?

 現状を放置すれば、アベノミクスを壊しかねないインパクトをもっていると思います。せっかく着実に景気回復の芽が出てきて、それが主に民間消費の面で起きていたというのに、民間消費へ直接悪影響を与えてしまうのですから。

 景気回復の初期段階というのは、お金を持っている富裕層がお金を使い始めるとともに、職についていなかった方が景気回復により職を得て多少金回りがよくなるという二つの面があります。資産価格が上昇してお金持ちの消費行動が活発化するのと、底辺の人が豊かになるという二つの側面が景気回復の初期段階に見られる傾向なので、大多数の中間層は景気回復の実感をあまり伴わないのは当たり前でしょう。

 この景気回復局面はそうした形で支えられてきたのに、消費税を5%から8%に上げたことで冷や水をかけてしまった。消費税増税が消費に悪影響を与えてしまい、アベノミクスによる景気回復の流れをすっかり止めてしまいました。その結果、2013年の暦年(1~12月)の実質経済成長率は1・5%で、駆け込み消費の多くが反映される13年度(13年4月~14年3月)は2・3%成長ともなりましが、増税後の2014年度(14年4月~15年3月)はゼロ成長もしくはマイナス成長の可能性が非常に高い情勢です。

 これまでの安倍政権への60%を超える高い支持率は、憲法改正や靖国問題など安倍さんの本来の持ち味というよりもむしろ、景気が良くなった(あるいは良くなりそう)と国民が受け止めた側面が大きく反映してきたと思うので、経済環境が悪化していくと政権としては非常に厳しい局面を迎えることが予想されます。

 消費税を引き上げる際に「消費税増税をしたところで景気には大して影響はない」と様々な学者やエコノミストの方が言われましたが、これは結局大きく外れ、 ・・・続きを読む
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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』(2012年、講談社、13年に文庫化)を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(06年、朝日新聞社、10年に文庫化)、『ヒルズ黙示録・最終章』(06年、朝日新書)、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(10年、朝日新聞出版)がある。近著は、編著者としてかかわった『ジャーナリズムの現場から』(14年、講談社現代新書)。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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