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アベノミクスが蓄積するマグマのリスク

賀来景英 エコノミスト

 消費税率の追加引き上げの延期と衆院の解散・総選挙が決定された。

 それでも、今のところ、消費税率の引き上げ先送り決定の場合の事前に持たれた懸念——日本の財政に対する信認低下に伴う金利の上昇——は現実化していない。ただ、円安が加速しただけである。そして円安は、このところさすがにそれへの警戒感が目立って来ているとはいえ、マイナスのショックとしては受け止められていない。

 信認低下にもとづく金利の変動は、まさに心理、期待にかかわる事態であるだけに、本質的に不確かである。今回の場合、全くの予想外の決定ではなかったし、とりわけ、GDPの2四半期連続減少もあって、景気配慮上やむを得ぬ措置と受け止められ得たので、少なくとも当座、信認を揺るがす事態に至らなかったのも「想定内」と云えるのかもしれない。

 だが、もとより、今回の先送り決定が市場の動揺を引き起こさなかったからといって安んじてはいられない。17年4月には引き上げるという「確約」にもどれだけの信をおけるのか。その時、日本の経済状態がめざましく好転しているという保証はなんらないのだ。

 日本の財政が危機的状況にあることはもはや贅言を要しないし、市場が「不信任状」を突きつけるタイミングは事前に測り難いとはいえ、そのリスクは時とともに増大していると見ておくのが自然であろう。それは、地震発生の事前予測は無理であろうが、マグマ蓄積のリスクは知りうるのと似ている。

 そして、今回の先送りは、不人気な政策を「決められない政治」が、与党の安定的多数の政治状況にあってもなお健在であることを改めてあからさまにしたのであり、 ・・・続きを読む
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筆者

賀来景英

賀来景英(かく・かげひで) エコノミスト

 エコノミスト。1965年、日本銀行入行。調査統計局長、考査局長等を経て96年に退職。同年、(株)大和総研副理事長に就任し、2006年退職。同年に東洋大学経営学部教授となり、12年退職。

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