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第4回 片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員(下) デフレ脱却が成長への最大の秘策

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

 ――それで財政再建はどうなりますか。

 

片岡剛士氏拡大片岡剛士氏
 そもそも増税は、社会保障の財源を確保するためということでした。5%から8%に引き上げると8兆円程度も税収が増える。しかし社会保障支出は毎年3兆~4兆円程度増えるので、増加分をすべて消費税でまかなおうとすれば、仮に10%まで消費税率を引き上げても3~4年でもたなくなる。すると、すぐに「再び消費税を引き上げないといけない」という話になる。最終的に消費税増税で拡大する社会保障支出を全額まかなうとすると、その場合に必要な消費税率は30%とか40%になってしまいます。はたしてこれが持続可能な姿なのでしょうか?

 僕は消費税を30%までに引き上げるのは現実的に無理だと思います。先ほどお話したように消費税には逆進性の問題があって、若い人や所得の少ない人がより一層困ってしまいます。

 本来、所得再分配は豊かな人から困っている人に配るのがスジなのに、消費税の引き上げによって困っている人が余計困ってしまうような本末転倒の事態になっています。

 しかも、本来であればこれまで国債でファイナンスされていた社会保障支出が消費税増税による税収増でまかなわれるはずですから、結果として債務残高が減るはずなのに、そうはなっていない。したがって財政再建にも寄与していないんです。

 5%から8%へ消費税率を引き上げる際も同じでしたが、消費税増税を当て込んで概算要求は青天井。消費税増税の悪影響を抑制するために行われた経済対策5・5兆円は、使い切れなかった剰余金や成長によって税収が増えた分で捻出されました。加えて、消費税増税の悪影響が深刻であると事前に予想された2014年4~6月期には、下支えの効果を果たすことすらできなかった。まったく政府は何をやっているのか。

 社会保障の財源という観点でも財政再建という観点でも、まったく寄与しておらず、入った分を使い放題使ってしまう。

 財政再建を進めるには名目GDP成長率を引き上げないと難しい。そのためにはデフレが持続する環境から脱して政府・日銀が目指す2%のインフレ率(消費税増税による影響を除いたベース)を持続的・安定的に達成する中で、生産や雇用が増え、経済の好循環が生じる状況にすることがまず大切です。

 次に無駄な支出を減らすことも重要。そのうえで増税というのであれば、学習院大学の鈴木亘教授が提案されているような、現行の相続税を廃止して社会保障財源に充てることを目的とした新型相続税を創設することも一案です。新型相続税のメリットは、消費税とは異なり、 ・・・続きを読む
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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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