障がい者社員が健常者社員に影響を与え、社内の労働生産性を改善するメカニズムとは
2014年12月16日
障がい者は健常者ほどに働けない、経営にとって負担になるだけ。だから、賃金が安くても、雇用が進まなくても仕方ない――。そう考える人も少なくないのではないだろうか。しかし、障がい者は戦力になるのである。
本論考は『オルタナ』39号でもお読みいただけます
障がい者は戦力になるだけではない。障がい者は社内を改善し、業績に影響を与える力さえ持つ。それに気付いた企業は、障がい者を雇用し、良好な業績を上げている。障がい者雇用という社会課題を経営資源に変え、業績につなげることに成功しているのである。
特に中小企業では興味深い事例が多く見られる。本論では、障がい者雇用を経営戦略化している事例を紹介しつつ、戦略化のポイントを明らかにしていく。
障害者雇用促進法が改正され、2013年4月から、民間企業の従業員に占める障がい者の割合(法定雇用率)が1.8%から2 .0%になった。
図1を見てほしい。図1を見てほしい。企業規模別にみた障がい者雇用率だ。どの企業規模においても、2.0%はクリアされていない。背景には、タイトルの直後に記した、障がい者に対する先入観があることは容易に想像できる。しかし、目からうろこが落ちる事例もある。
横浜市金沢区の工業団地にある株式会社羽後鍍金(うごめっき)は、従業員20人ほどの小さな会社だ。しかし、驚くべきことに、その4分の1が障がい者である。しかも、重要な作業を任すことができるほどの職人に育て上げているのである。
この会社のポイントは、障がい者と仕事や会社とのマッチングである。そのために、毎年実習でたくさんの障がい者を受け入れている。勤め続け、技術を習得するためには、仕事や会社との相性が大事なのである。
その結果、給与などのコストを超える働きを示せば、会社の負担になるどころではない。立派な戦力になるのである。ただ、障がい者個人の労働生産性を見るだけでは、その力を把握することはできない。
鎌倉材木座海岸近くにある株式会社バニーフーズは、テイクアウトの弁当屋である。70人ほどの従業員の4割近くが障がい者である。もちろん、戦力になっている。そうでなければ、
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