サービス産業の料金・賃金体系で再分配機能を働かせる必要性
2014年12月25日
2014年、アベノミクス下での2年目は、その前年の1年目から始まっていた日本の労働者の実質賃金水準の下落がさらに加速した年であった。これは驚くにあたらない。
そもそも、アベノミクスは以下のような戦略だったからだ。つまり、まずは米ドル、人民元(人民幣)、ユーロなどの外国通貨に対する日本円の為替レートを大幅に切り下げ、日本の輸出関連企業が外貨建ての価格の値引き余地を持てるようにして競争力を高める。日本円換算の輸出額、売上高を大幅に増大させることで、ドルなどの外貨換算の日本の賃金水準を大幅に切り下げ、日本の輸出関連企業の労働コストを削減し、企業の利潤を拡大することを狙っている。
したがって、アベノミクスの唱道者の表面的な修辞言辞に関わらず、大幅な円安により、彼らの狙い通りの結果が、実質賃金の下落の再開、下落スピードの加速となって表れているに過ぎない。
日本政府厚生労働省では、「毎月勤労統計調査」という形で、日本の事業所での雇用・賃金などの状況の調査を実施している。
上掲のグラフは、上記の調査の結果の一つである5人以上の事業所での毎月の実際の金額での名目賃金、消費者物価の変動を割り引いた実質賃金を、2010年を100の基準時点として指数化したものを表示したものである。月々の季節的な変動を出来るだけ消去するために、季節調整処理が施されている。
日本の実質賃金指数の水準は、1996年6月以降から翌年3月までの大方は110・0を超えていた時期をピークに、以降は長期の下落傾向を辿って来た。
このグラフ中では、実質賃金指数の水準が最も高かったのは1997年1月の113・3であった。最新のデータ月である2014年10月の95・2は、ピークから16・0%も下落した水準である。110・0と比較しても、13・5%の大幅下落である。
従業員30人以上の事業所を対象とした調査では、季節調整済のデータは、1970年までさかのぼれる。その長期時系列データによると、
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