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中国大気汚染は北京より地方省都がずっと深刻

逃げ場ない全土スモッグ、小手先対策は効かず

団藤保晴 ネット・ジャーナリスト、元全国紙記者

 重篤スモッグで世界から注目される北京よりも、地方の省都の方がPM2.5による被害がずっと深刻であると判明した。北京大研究チームの調査で人口10万人当たりの死者数が百人以上の12市に比べ北京は79人しかなかった。

 2013年時点で河北省の石家庄134人、山東省の済南128人、湖南省の長沙124人など北京の西や南、さらに内陸部の方が大気汚染はひどいと示している。国営新華社通信が伝えた31都市ランク表から22位の北京まで上位部分を以下に引用する。北京よりも低いのは青海省などはるか西か、広東省など最も南の地域でしかない。

新華社の《中国初のPM2.5による死者データ発表、石家庄や済南は最も深刻》は全国31の省都・直轄市でPM2.5による死者は人口10万人当たり90人と報じている。中国政府がまとめた2012年の統計で喫煙による死者は70人、交通事故による死者は9人に過ぎない。

 微粒子PM2.5スモッグによる健康へのリスクは非常に大きくなっていると言える。北京の場合はこの平均値よりずっと低く、最近、スモッグが言われる上海も20位81人だから北京とほぼ同列でしかない。

 同じ調査で英国BBCの報道を引用して、北京大チームは当初は100以上の都市での調査を試みたのに地方政府から妨害を受け、十分な調査にならなかったと伝えられている。この事実からも省都以外にも汚染深刻な都市は多いと見られる。今のところ大気汚染の改善に向けた計画を打ち出しているのは20都市余りであり、実現できたとしても全国的な効果は限定的だ。

 2014年10月の報道で、北京のPM2.5飛来元は地方からが通年で28~36%ながら、深刻な汚染時には50%以上にのぼると北京市環保局の見解が伝えられた。昨年の「APECブルー」実現に河北省など周辺地域で広く工場操業を停止する措置などが必要だったわけである。これからは北京市を政治、文化、国際交流、科学技術革新の中心にし、

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