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高速道路、「合併施行方式」の不可思議

政府答弁でも明らかになった法的根拠なし

まさのあつこ ジャーナリスト

 民営会社が作る高速道路建設に、国や地方自治体が税金を投入して建設を進める「合併施行方式」の高速道路には法的根拠がない。穀田恵二衆議院議員が提出した「高速道路の整備における合併施行方式に関する質問主意書」への政府答弁で明らかになった。

 「合併施行方式」で作る高速道路は、国から税金(あんこ)をたっぷり入れ、旧道路公団が薄皮程度に資金を投入して作った「薄皮まんじゅう方式」と呼ばれた有料の一般国道と瓜二つである。高速道路民営化で、民営会社は採算路線のみ作るはずが、なぜか、「薄皮まんじゅう方式」で作っている路線がある実態を本欄では報じて来た。
「高速道路「横浜環状南線」の理不尽、国と民営会社が一体で強制収用の動き」
(2014年06月27日)、
「複雑怪奇!法的根拠なき高速道路の整備手法「薄皮まんじゅう方式」とは何か」
(2014年09月01日)

 穀田議員の質問主意書は、「合併施行方式」は完成後は通行料金が徴収されるため、「通行料金収入により賄われているとの印象が強く、国等による税金負担分がどれほどの割合を占めているのか、その実態はあまり知らされていない」として7つの質問を行ったものだ。

 注目すべきは3点あった。1点目は「合併施行方式」の法的根拠、2点目はこの方式が採用される目的であり、穀田議員は「採算性確保が困難な高速道路も整備できるようにするためではないのか」とストレートに問うていた。3点目は、極めて不透明な「あんこ」と「薄皮」の割合である。

 「質問主意書」とは国会法に基づく議員から内閣に対する文書形式の質問で、政府答弁は安倍晋三内閣総理大臣名で2月9日に衆議院に提出された。以下、質問と答弁の要約と解説を試みる。

穀田恵二衆議院議員の7つの質問

 (1)根拠:一般国道の整備は「道路法」、有料道路の整備は「道路整備特別措置法」を根拠に整備がなされるが、その両者を組み合わせて整備する「合併施行方式」の根拠は何か。

 

(2)効果:「合併施行方式」により実施した場合の効果をどのように考えているか。

 

 (3)決定手続:「合併施行方式」で実施することを決定する機関、許認可は誰が行うのか。税金投入について、国と地方の議会承認が必要ではないか。

 

 (4)役割分担:「合併施行方式」では、国と自治体と高速道路会社が役割をどのように区分けするのか。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の横浜環状南線を例に答えよ。

 

(5)税金投入の理由:「合併施行方式」では有料道路として料金が徴収される。国・地方自治体が税金を投入するが、その根拠は何か。

 

(6)目的:有料高速道路は、料金収入で事業費を賄い、債務を償還できることが前提のはずだが、「合併施行方式」は、税金を投入して、表面上は採算が確保されるかたちにして、有料道路事業として整備できるようになる。「合併施行方式」の採用は、採算性確保が困難な高速道路も整備できるようにするためではないのか。

 

(7)現状と税負担割合:「合併施行方式」で完成済みの高速道路と建設中の高速道路ついて、道路名、区間、距離数、開通年月、料金徴収期間、総事業費を明らかにせよ。また、総事業費のうち、有料道路にかかる高速道路会社(旧道路公団)が負担する費用、一般国道にかかる国等が負担する費用について、その負担割合(直轄比率)を明らかにせよ。 

安倍晋三内閣総理大臣による5つの政府答弁

 これら7問への政府答弁のうち、7問目で尋ねられた完成済みの「合併施行方式」の高速道路の実態と、その「あんこ」と「薄皮」の割合については、こともあろうか、

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