メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

消費増税先送りは正解だったのか

財政再建のため中長期的には20%前後の税率も

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 2015年度に予定されていた消費税の10%への引き上げは、2014年の景気後退等に配慮し、2017年10月まで延期された。

 たしかに、増税後、日本経済は停滞し、2014年通年の実質GDPの成長率は0%、10~12月は三期振りのプラス成長だったが、前期比0.6%増、年率で2.2%だった。景気は10~12月で底を打った感じだが、再び増税をして回復を腰折れさせたくなかったのだろう。

消費税の軽減税率について開かれた与党小委員会であいさつする自民党の野田毅税調会長。左は公明党の斎藤鉄夫税調会長=2015年2月9日午後、東京・永田町

 しかし、他方で財政再建は至上命題。日本の債務残高は2014年にはGDP比で231.9%に達している。これは先進国中最悪。イタリアの146.7%、フランスの115.8%を大きく超えている。財政危機に陥ったギリシャの175%をも大きく超えているのだ。

 日本が債務危機に落ち込まないのは、家計の金融資産残高がGDP比で300%(2014年3月末で1630兆円)前後あり、国債残高の90%強が国内で保有されているからだ。しかし、日本の家計貯蓄率は2013年度にはマイナス1.3%になっていて、

・・・ログインして読む
(残り:約802文字/本文:約1239文字)