限界をわきまえて使う。それができなければ、大学生になる資格がない
2015年04月09日
信州大学の4月4日の入学式で、山沢清人学長が新入生に、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」と迫った。この発言は大きなニュースになり、ネットの住民からは、大きな非難が巻き起こった。いまやスマホは、学生たちにとって一心同体の道具になっており、それをやめろなどという暴論は許せないというのだ。
しかし、山沢学長が単純な二者択一を求めたのではないことは、学長発言の前後をみれば、明らかだ。
以下、引用しよう。
残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。
「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」。スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。
以上、引用終了。
本を読み、友人と話し、自分の頭で考えることを習慣づけようというのが、学長の言いたかったことで、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」というのは、関心をひくためのキャッチフレーズに過ぎなかったのだ。
しかし、このニュースが大きく採り上げられたこと自体が、私はスマホの問題点を浮き彫りにしているのだと思う。スマホは、画面が小さいし、キーボードがないので、サイト自体が機能を大幅に簡略化するように設計されている。だから、ニュースも、ヘッドラインだけが伝えられる。そこに、「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」というショッキングな文章だけが現れたら、大きな反発を招くに決まっているのだ。
私は、学生がスマホを使うのを否定しない。学生が授業中にスマホで分からない言葉を調べても、黒板をスマホで撮っても、それを注意することはない。ただ、ずっと学生に言い続けているのは、原典に当たれというということと、多様な意見に耳を貸せということだ。
例えば、
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