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AIIBでアジア共栄の正論を謳い上げた中国

軍事同盟の強化追求する日米に理はあるか

齋藤進

 中国が設立を主導したアジアインフラ投資銀行(AIIB)には、2015年4月半ばの段階では、57カ国が創設メンバーとなった。東アジア・東南アジアで参画を見送ったのは、日本と北朝鮮だけとなった。

 日本は、米国と一緒になって(米国の指示で?)、米国の「同盟諸国」、関係諸国などに、同行に参画しないように政治的な圧力をかけていたという。

 しかし、イギリスを筆頭に、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧州の米国の主要な同盟諸国だけではなく、西太平洋地域の米国の同盟国であるはずの韓国、オーストラリア、ニュージーランドまでも、米国の制止を振り切って、AIIBへの参画を表明した。

 その後、米国は世界銀行、アジア開発銀行などを通じた協力を表明する姿勢に転換し、日本も、AIIBへの参画を明言していないが、アジア開発銀行などを通じた協力を表明するようになっている。

 率直に言って、日本外交、米国外交の大失敗であったと評価されるだろう。

 何が日本と米国の判断を誤まらせたのか。

 米国のアジア・ピボット戦略、オフショア・バランス戦略に基づいた「中国包囲網」構想の枠組みと、それに乗った日本外交の情勢判断の誤りではなかったか。

 この米国の構想のアジア現地版として、安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」と称し、本音では中国包囲網の構築を目指して、東南アジア、インドなどの南アジア、オーストラリアなどの大洋州などの諸国を忙しく飛び回って来たようである。

 しかし、外交的に孤立してしまったのは、日本と米国だった。そして、北朝鮮。同国は、米国と対立しているように見えるが、東アジアでの冷戦構造を温存するためには、米国にとっては大切な手駒の役割を果たしているとも評価できる。

 以上の状況を理解するカギは、中国の習近平国家主席が今年3月28日、ボアオ・アジアフォーラム(理事長は、福田康夫元首相)の年次総会の開幕式で行った基調講演と、来たる4月28日に、安倍首相が米国連邦議会上下両院合同会議で行うとされる演説内容だろう。

 習近平講演の趣旨は、 ・・・続きを読む
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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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