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「第4の戦場化」進む宇宙開発

一方で進む「超小型衛星」による産業創生

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 宇宙開発と言えば、小惑星や月の科学探査、宇宙の起源研究といった夢のある話が話題になる。しかし、政府・与党がいま躍起になって取り組んでいる宇宙開発は、新しい日米防衛協力の下での陸海空に続く「第4の戦場化」である。

 海洋の艦船を把握する「情報収集(偵察)衛星」の開発、宇宙を飛ぶ他国の衛星を把握するシステム構築、GPSの位置情報を日米で補完し合う「準天頂衛星」の整備などが重要なテーマになっている。

 背景にあるのは、言うまでもなく海洋権益の拡大を狙う中国の軍事進出と宇宙開発の動きだ。戦後、平和利用一辺倒だった日本の宇宙開発は、中国に刺激されるようにして、急速に安全保障色、軍事化を強めている。JAXA(宇宙航空研究開発機構)も衛星の打ち上げや運用管理で重要な役割を担う。

 その一方、世界では重さが1~100kgと小型で、費用も一機3億円以内で製作できる「超小型衛星」を活用した宇宙ビジネスが爆発的に広がりつつある。こちらを主導するのは各国の大学や中小企業、ベンチャーといった顔触れだ。

 その第一歩は1999年に米国で始まった「CANSAT(カンサット)」だ。空きカンに通信機器や観測装置を詰め、小型ロケットで4キロ上空まで打ち上げ、パラシュートで回収する。日本も、東京大学と東京工業大学を皮切りにこれまで100機以上のCANSATを打ち上げている。

 しかし、これは学生のための教育・訓練の場、いわば登竜門に過ぎない。東大大学院の中須賀真一研究室の場合、CANSATから出発して一辺10センチの「CUBESAT(キューブサット)」(写真1)へ。さらに政府の最先端研究開発支援プログラムの下、

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