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英国総選挙で保守党勝利 激変した政治地図(上)

新政権に安定を求めた有権者

小林恭子 在英ジャーナリスト

キャメロン首相の2期政権を伝える英首相官邸のウェブサイト

 5月7日に行われた英国の総選挙は、連立与党を形成してきた保守党が過半数を超える議席(定数650のうち331議席)を獲得し、単独政権樹立に成功した。

 事前の予想では保守党も野党労働党も過半数を到達できず、「宙ぶらりんの議会(ハング・パーラメント)」になるはずで、識者・論者・世論調査の見方を裏切る、意外な結果となった。

 保守党躍進の理由は後述したいが、今回の総選挙の大きな特徴は、保守党の勝利よりも政治地図の激変だった。

 英国の地図全体を思い浮かべていただきたい。西にはアイルランド半島北端に英領北アイルランドがあり、最北端はスコットランド地方、その下の大部分がイングランド地方(首都ロンドンがあり、人口の5分の4を占める)だ。イングランド南西部に位置するのがウェールズ地方となる。

 北アイルランド、スコットランド、ウェールズにはそれぞれ地方議会と自治政府がある。

 今回の総選挙の結果を概観するため、地図を各政党の政党色(個別に定める色)で染めてみると、ブルー(保守党の政党色)と黄色(スコットランド国民党=SNP=の色)でほぼ埋まってしまう。ブルーがほぼイングランド地方を覆い、SNPの黄色はほぼスコットランドを占める。SNPはスコットランドの英国からの独立を掲げる政党だ。保守党はスコットランドが国内に継続して所属することを望んでおり、帰属に関わる認識が正反対の政党が英国を大きく2つに分けたことになる。

 ロンドン・ウェストミンスターにある議会で、スコットランド地方に割り当てられた下院議席数は59だが、SNPは56議席を今回獲得しており、

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