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就活を勝ち抜く3つの力

ビジネスパーソンに通じる資質とは

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 大学にも、先行する学生から、内定や内々定の報告が届き始めている。今年は日本経済団体連合会が示した広報活動の開始が春休み中の3月1日、選考活動の開始が8月1日のため、大学の前期がすっぽり企業にとっての採用活動、学生にとっての就職活動期間となっている。大学教員の視点で観察する限りでは、就職活動が長期化することで、学生の留年リスクが高まるのではないかと、気をもんでいる。

 朝日新聞デジタル版にも、「正直者がバカをみるでいいのか」(5月14日)の見出しで、明治大学の就職キャリア支援事務室のインタビューが紹介されている。新卒採用が長期間の競争市場であれば、就職活動に有利な学生は、要領の良い学生となる。供給がほぼ一定の競争市場(経団連が示した活動期間は有名無実化するという前提)であれば、需要(求人)が増えれば、時間優先でやがて需給がマッチしていくものである。

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 さて、「3つの力」で表現しなおせば、管理力、分析力、決断力に優れた学生に圧倒的に有利である(図1)。採用活動がキャリア形成の登竜門であれば、ビジネスパーソンに通じる資質でもある。

スケジュール・時間の管理力

 プライベートや、授業のほか、サークル、アルバイト、資格取得、インターシップ、語学研修と、大学生のイベントの選択肢は飛躍的に増えている。よって、スケジュール管理は極めて重要になっている。学生が、この多忙な大学生活をサバイバルするには、スケジュール管理術を磨く必要がある。

 時間管理ができる学生は、デジタル・アナログを問わず、管理のための記録の手間を惜しまない。情報伝達方法がデジタルでも、通常のメール、ショートメッセージ、大学イントラ(Eラーニングシステム)、就職ナビ、企業サイトと情報システムが異なるため、スケジュールを統合させるには、アナログな手帳を省いたとしても、スマホやWEBベースの日程管理表に入力しておく、手間のかかる作業が必要になる。

 大学生が利用する情報システム(ソフトウェア、アプリも含めて)は統合されていないのである。プライベートの予定はLINEが猛威をふるっている。しかしLINEによる情報提供に踏み切る企業や大学はまだ限られている。パソコンとマイクロソフトが圧倒的な時代は、Outlookなどの電子メールソフトによる時間管理が優れていた。しかし今やGoogle、Apple、アマゾンなどクラウド・ネットワーク化が進み、こうしたクラウドごとのソフトウェアが優勢になっている。日本ならば、Apple、Google、それともYahooJapanで管理するのか、という選択肢になる。

 ただ、ビジネスパーソンであれば、会社が採用する情報システムによって統合され、パソコンとスマホが連動しやすい面がある。もちろん勤務先が、スケジュール管理につながる情報システムを整理して統合していることが前提となる。

情勢・企業・担当者に関する分析力

 上記のスケジュールや時間管理力は、現代の学生がかなり磨かれている。おそらく教職員を凌駕していたとしても不思議ではない。それがデジタル世代のすごさだろう。

 統計による差異があるものの、日本には300万から500万程度の企業が存在する。ナビ経由で大学新卒の求人広告を出す企業はひとつのナビで1万社程度である。そして上場企業だけで約3500社存在する。ナビでキーワード検索すれば、企業を絞ることもできる。

 上場企業数を上回る企業が全国に情報発信できるナビを利用しているということは、分析上、案外、厄介な話しである。公表されている情報の種類、そして信頼度にばらつきがあることを意味する。

 そもそも、すべての学生が財務分析や経営戦略論を学んでいるわけでもない。当然ながら、公開情報をベースにした、こうしたアナリスト的な分析力を、身に付けるのは容易ではない。また、定量的に分析できたとして就活成功を変数にした説明力は限られる。しかも、 ・・・続きを読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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