考えるべき五つのポイント
2015年05月25日
「同族企業には原則がある。外部の者以上に働かない限り、一族を働かせてはならない」 ピーター・ドラッカー 『チェンジ・リーダーの条件』
企業経営を巡って親子や兄弟が対立した事例は、日本でも枚挙に暇がない。全国400万の企業のうち約95%は家族経営とされるなか、お家騒動や骨肉の争いが表沙汰になるケースも絶えない。大塚家具のお家騒動はいったん収束したが、これを機に「世襲とは何か」を考えてみた。
企業の成長において世襲はプラスなのかマイナスなのだろうか。当然ケースバイケースではあるが、これまでの企業経営の世襲事例を振り返り、次の5つのポイントにまとめてみた。
(1)子どもに経営者としての資質があるか(学力や真面目さ、人柄の良さだけではない、器、存在感、判断力、コミュニケーション能力が不可欠。子どもがそれを持っているかどうかは、高校生のころには分かる)
(2)番頭格(最も厳しい社内幹部)が賛成してくれるか(社内で重要な人物が一人でも反対するようであれば、その世襲は正しいとは言えない)
(3)家族が賛成してくれるか(特に、妻・母親の視点が重要だ。女性たちには男性には見えないところも見えている)
(4)経営移譲後、子どもに口を出さない自信はあるか(口を出さない自信がなければ、継がせるべきではない)
(5)親は、経営委譲の後、代表権を返上できるか(代表権を返上することが、口を出さないための最も確実な担保となる)
本田技研工業の創業者、本田宗一郎氏は、会社に親族を入れることを頑なに拒んだ。「生涯の悔いは会社に本田という名前をつけたことだ。あれは、皆の会社なのに自分の名前をつけてしまった」と周囲に漏らしたとされる。
一方のトヨタ自動車では、
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