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孫正義社長“一目惚れ"の行方

二人の愛が冷めた後はどうなる―ソフトバンク後継問題

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

 ソフトバンクの孫正義社長は、まだ入社してまもないインド出身のニケシュ・アローラ氏を、自身の後継者候補含みで副社長に起用する。

拡大ソフトバンクの孫正義社長から「後継者候補」に指名されたニケシュ・アローラ氏

 アローラ氏は、孫氏が「会ったとたんに一目惚れ」した人物。この9カ月間、いつも孫氏に寄り添い、孫氏は「朝まっさきに彼に電話し、寝る前に電話で話すのも彼」とのろける。移り気と評されることの多い孫氏、はたして愛は永続するのか。

 今年47歳のアローラ氏は米フィデリティでそのキャリアを始め、金融界を渡り歩いた後、2001年に現在米国で4位の携帯会社Tモバイルの欧州部門のマーケティング責任者を担当。その後グーグルに移り、セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジの2人の創業者やエリック・シュミット会長につぐ「ナンバー・フォー」の地位(チーフ・ビジネス・オフィサー)にまで上りつめた。

 私が同僚と一緒に2月27日にアローラ氏に行ったインタビューによれば、孫氏から「いつか一緒に仕事をしよう」と言われたのは、アローラ氏がグーグル在職中の、いまから5、6年前のことだった。「そのときは何か一緒にやれるとは思っていなかったけれど、マサ(孫氏のこと)は『グーグルは競争相手ではなくて協力者になるべきだ』と言っていました」。

 以来、孫氏がカリフォルニアに来るたびに、ともにワインを飲む仲に。アローラ氏がインドの財閥出身の女性実業家と挙げた昨年の結婚式には、俳優のブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョイナー夫妻やグーグル創業者のラリー・ペイジ氏ら289人が招待されたが、孫氏もその一人に名を連ねていた。そのころから孫氏は「一緒に仕事をしよう」と猛烈なラブコール。アローラ氏が週末、家族とロサンゼルスで食事をしていると、出張中の孫氏がわざわざ訪ねてきて、紙ナプキンに入社の条件を提示して口説いた。

 「そこには日付と数字が書いてありました。それから『これから、こういうふうにやろう』と。ですから大事なことは、日本食レストランの紙ナプキンの裏ですべて決まったのです」

 数字とは、おそらく ・・・続きを読む
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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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